“Enjoy the historical tour of Iwatsuki in English”〜英語で楽しむ岩槻歴史めぐり〜

岩槻観光ボランティアガイド会による「英語で楽しむ岩槻歴史めぐり」が7月8日と11日に行われました。中学生レベルの英語によるガイドで岩槻めぐりを体験できてしまう人気企画です!

Good morning everyone! How are you?

さっそく英語によるご挨拶。この日はあいにくの雨模様でしたが、朝の9時30分、岩槻駅改札前に参加者18名が集まりました。

今回のテーマは「大構(おおがまえ)、土偶の里を歩こう」です。城下町岩槻をめぐり、寺社や貝塚を訪れて歴史を学びます。

まずは駅前へ下りて、真福寺貝塚から出土したミミズク土偶の”レプリカ”を拝見。この後実際に貝塚を訪れるので楽しみ倍増です!

土偶の可愛さに癒された後は芳林寺へ。いくつかある太田道灌像で騎馬像は珍しいものだど説明がありました。設置されている案内版で、岩槻城や約8㎞にわたる大構(※岩槻城とその城下町を囲んだ土塁)、昔の城下町岩槻の街並がよく分かります。

続いて市宿通りにある八雲神社と岩槻郷土資料館へ。八雲神社では本殿の壁面の彫刻を見させていただきました。

岩槻郷土資料館では、岩槻の歴史や文化にまつわる資料や展示物を見ることができます。この日は学芸員さんの深いお話も聞くことができました。

また、ここでは貝塚についてボランティアガイドさんより説明がありました。興味深いお話で参加者から質問もあがりました。写真は英語で同時通訳をしている様子です!歴史や専門用語を訳すのは難しいですよね(^_^;)

この写真はガイドの途中で通った道。この風景から土塁と堀の名残を感じとることができますね。

続いては、奈良時代末期に開かれた真言宗の古刹、岩槻大師へ。歴史ある立派なお寺です。少し個別の時間を作ってもらえたので、地下仏殿でのお砂踏み遍路を行わせていただきました。そして岩槻駅をスタートして2時間ほど、真福寺貝塚へ到着!!この時にはだいぶ雨が強くなってきてしまいましたが、発掘調査の場所を見せてもらうことができ、地道で大変な作業だなと感じました。新たな発見や出土を期待してしまいます。■「真福寺貝塚 調査最前線」Webページは、こちら

ここでも発掘についてボランティアガイドさんが同時通訳で説明してくれました。雨の中、ありがとうございました!最後は富士浅間神社へ行きました。綺麗な朱色の鳥居が印象的でした。境内に上がり初山(※この一年間に生まれた赤ちゃんの成長と無病息災を願う行事で、参拝した赤ちゃんの額に朱印を押す)の説明がされました。もちろん最後も分かりやすい英語で(^ ^)

富士浅間神社のすぐそばに「府内一丁目バス停」があります。岩槻区内を運行するコミュニティバスの始発または終点地で、岩槻駅へ戻るにも、岩槻人形博物館や岩槻城址公園など他のスポットへ行くのにもとても便利ですよ!1時間に1本間隔の運行ですのでご利用の際はお気をつけください。

■岩槻区コミュニティバスについては、こちら。

岩槻観光ボランティアガイド会さんの「英語で楽しむ岩槻めぐり」は、年に3回開催されています。次回は10月〜11月を予定しているそうです。英語でのガイドにこだわらず、日本語でも丁寧に説明してくださるので安心です。参加者の皆さんは純粋に岩槻めぐりを楽しんでいらっしゃいました。リピーターの方も多く、参加者のお一人が「自分だけでは行かない知らないスポットへガイドしてもらえるので、とても楽しい」とおっしゃっていたのが印象的でした。

■岩槻観光ボランティアガイド会のホームページは、こちら

※さいたま観光国際協会では、オンラインでも市内観光を体感できる街歩き動画「さいたま歩きが楽しくなる見るガイドブック」を公開しました。7つのコースのうち、岩槻観光ボランティアガイド会おすすめの「城下町岩槻コース」もあります。その他、大宮観光ボランティアガイド会おすすめの「鉄道のまち大宮コース」、観光ボランティア浦和ガイド会おすすめの「中山道浦和宿コース」もあります。ぜひご覧いただきこちらでも【さいたま歩き】を楽しんでください。

■「さいたま歩きが楽しくなる見るガイドブック」Webサイトは、こちら

 

さいたま市の背中(155)『行き付けの公園に鉄棒の設置をお願いしてみた結果』

どーも、さいたま市民観光サポーターまつです。

皆さん、運動はお好きですか?
コロナ禍でなかなか運動も縁遠くなったという方もいるでしょう。ぼくは初対面の人には「何かやってんの?」って聞かれるくらい自他共に求める健康体です。
実際には何か特定のスポーツをしたりジムに行ったりしているわけではなく、近所や旅先でマラソンやウォーキングをしたり、自宅で筋トレをしたり、など出費ゼロ円の運動を長年続けています。

そんなぼくのマラソンコースにさいたま市桜区に位置する「田島氷川公園」があります。
住宅街の中に神社に延びる参道がある、なかなか存在感のある神社です。



「氷川」の名前の通り、関東を代表する超有名神社である氷川神社と関連があると思われますが、今回のネタはその神社に隣接している公園の方。



よく言えば手付かずの、悪く言えばワイルドな公園です。でも公園内の池には亀がいたり、猫が住み着いていたり、自然豊かな公園です。子供の頃は夏祭りなんかも催されていた記憶があります。
大宮公園や与野公園のようなメジャー公園と違って、公的なホームページ等は無いみたいなので、場所が気になる人はググってみてね。ちなみに最寄り駅は埼京線の中浦和駅か、武蔵野線の西浦和駅になります。いずれの駅からも徒歩15分くらい。



そんな公園の一角にこんな遊具コーナーがありまして、ぼくのマラソンコースの途中でここで筋トレをするのがお決まりのパターンです。



特にぼくは懸垂が大好きでして、かといって自衛隊員のように何十回もやったり、新体操選手のようにグルグル回ったりできるわけではないのですが、懸垂って腕だけと思いきや上半身全体を鍛えてくれるので楽しいのですよ。
で、ここでそんなことを言っているということは、当然この公園に懸垂ができる鉄棒があったわけです。

ある時までは!



確かにここにあったのです!
しかしある時に跡形もなく無くなっていたのです。

盗まれたか?いや遊具泥棒なんて聞いたことないしなぁ。一時的なリニューアルか?そんなことも考えて数か月待ってみたけど、一向に設置される気配がない。どこ行った、鉄棒よ!



辺りを見渡すと、掲示板に「維持管理者」のステッカーが。ここに聞いてみれば良いのだな。しかし小心者のぼくは直接電話をして聞く勇気がありませんでした。ほら、ケータイ世代の新入社員が会社の代表電話の取り方を知らん!って時々話題になるじゃないですか。さすがにぼくはその世代ではないですが、それでも電話ってあまり好きじゃないのです。
そんな現代っ子のために、さいたま市のホームページにはメールでの問い合わせ窓口があるんですね。まぁどこの自治体にもあるとは思いますけども。ここで質問してやんよ!オレの鉄棒をどこにやったんよ!?



と、ネット世代っぽくイキがってはいますが、実際には大人として、社会人として丁寧に問い合わせをしましたので念のため。

市役所も医療だ福祉だなどとお忙しいのに、「鉄棒」というどうしようもない問い合わせをして黙殺されるだろうなぁと予想していました。

しかし!数日後に返信が来たのです!市から返信が!

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平素は本市の高齢福祉行政に御理解御協力を賜り厚く御礼申し上げます。
また、いつも本市のすこやか遊具をご利用いただきましてありがとうございます。
ホームページよりお問合せいただきましたことについて、御回答いたします。 
さいたま市に配置しているすこやか遊具については、毎年定期点検を行っております。田島氷川公園の鉄棒遊具(名称:鉄棒・上肢をのばす運動)は、平成27年度に行った点検の結果、“危険のため使用禁止”と判定されました。このため利用者の安全確保のためにやむを得ず、撤去することとしたものです。撤去した減少分については、今後、再整備する方向で検討したいと考えております。 
この度いただきました御意見につきましては、今後の事業推進の参考にさせていただきます。
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結論!危険のため使用禁止!

まぁ・・・色々あるんでしょうね。高さも大人がぶら下がっても脚が地に着かないくらいありますし。思い返してみれば、懸垂ができる鉄棒はさいたま市内にあまり設置されていない気がします。
ちなみに今回は鉄棒についてだけ触れたけど、本来は更に2、3の遊具があり、それらも撤去されていたことを付け加えておきます。

地味に感動したのは、一市民の「鉄棒どうしたのよ!」というしょーもない問い合わせに市の担当部署が丁寧に回答をしてくれたこと
そして「鉄棒」という名詞を、「鉄棒・上肢をのばす運動」と訂正してくるあたりが市役所職員の仕事への誠意を感じさせますね。



そんなわけで、鉄棒が撤去された理由が明確になったわけです。なお市役所からの返信文に記載されている通り、この記事の一部始終は約6年前の出来事です。ブログにまとめるタイミングがなくお蔵入りになっていました。この記事の作成にあたり、久々にこの公園を訪れてみましたが、鉄棒は未だに設置されていませんでした。

あれから6年、ぼくは市内で引っ越しをして、新たなマラソンコースを開拓し、懸垂のできる遊具がある新たな公園も見付け、日々トレーニングに励んでいます。

みんなも運動をして健康になろうぜ!

おしまい。

【まつ直近記事3本】
(152)『3月11日の素晴らしきコンサート@埼玉会館』
(153)『渋谷区からさいたま市まで歩いて帰る(震災シュミュレーション)
(154)『埼玉県民のソウルフード、山田うどんでうどん以外を食す』

さいたま市の背中(154)『埼玉県民のソウルフード、山田うどんでうどん以外を食す』

どーも、さいたま市民観光サポーターまつです。

突然ですが、山田うどんってご存じですか?


近年は様々なメディアでご当地グルメとかご当地チェーン店が特集されたりしますが、埼玉のご当地チェーンといえば「山田うどん」と多くの人が名前を挙げるのではないかと思います。。

出店エリアは全て関東地方。そしてそのうちの半数以上が埼玉県内に店舗があります。

ホームページの店舗情報を見てみても、関東地方の出店マップの下に・・・




埼玉県だけの出店マップを作ってしまうくらい、埼玉県民密着型のチェーン店なのです。なお、さいたま市内には2021年現在は9店舗あります。

今でこそ「丸亀製麺」や「はなまるうどん」などのナショナルチェーンが至る所にありますが、埼玉県民にとってはうどんといえば「山田うどん」なのです!

と、ここまで持ち上げておいて何ですが、ぼく個人的には山田うどんには生涯で一度しか行ったことがありません。存在自体は幼い頃から知っていたので店舗前を通過したのは何千回、何万回とあるんですけどね。

10年以上前に一度だけお試しで行ったことがあります。で、感想としては「普通だな」。それが最後の記憶です。

「ソウルフードあるある」。それは結構「普通」ということ。でもその「普通」というのが飽きずに愛される理由なのでしょう。

ある日の昼前、お昼ご飯は何にしようかなと思案していました。そして決めました。「人生2回目の山田うどんに行こう」。そうやって大袈裟に人生を持ち出したにも関わらず、結論から言うとやっぱり「普通」でした。



向かったのはさいたま市桜区にある「山田うどん田島店」。山田うどんは運送ドライバーなどに「美味い安い早い」を提供するためにロードサイド店舗が中心となっていて、駐車場が広く取られていることが特徴です。そして遠くからでも目を引くのが黄色い看板。そしてブランドキャラクターの「かかし」。



お店に入り、カウンターに座ります。入った瞬間「昭和か!」って感じました。ソファーや座敷などの全体的な色落ち間が(褒めてます)。昭和生まれのぼくも、両親に外食に連れていってもらっていた古き良き懐かしき子供時代にタイムスリップした気がしました。

周りを見ると、確かにドライバー風の男性一人客が多い。でもその他にも親子、老夫婦、サラリーマン、平日の昼間に何してんの?風(←自分含む)、など客層は意外と幅広かったです。しかし全体的には平均年齢は高め。



メニューを開き、心の中で叫んだセリフ。

ラーメン、チャーハン、カレー、、、

うどんじゃないじゃん!!!

これには完全に予想を裏切られたぞ。「山田うどん」っていうくらいだからうどん専門かと思っていたけど意表を突かれました。なんだー、こんなにメニュー豊富ならもっと早く来ておけばよかったなー(実はぼくはうどん好きではない)。


出ました、埼玉推し。ガッツリ、コッテリ!これぞガテン系メシだ!しかし土日祝限定とのこと。訪問した日は平日だったので検討範囲外でした。



平日限定の日替わりセットも種類豊富。よしこれにしよう。ガッツリ系だけど、そのために朝ご飯も少なくしてきたのだ!



運ばれてきました。牛卵とじ丼に温かい蕎麦。

繰り返す。

うどんじゃないじゃん!!!

山田うどんはうどん好きじゃなくても楽しめる、

なぜか。

それは、



うどんはうどんでも「山田うどん食堂」だからさ!

調べてみると、うどん以外のメニューもあるよ!というメニューの多彩さ、食堂っぽさをアピールして2018年に屋号を変更したとのこと。なるほど!それでもでも「うどん」のワードを外さなかったのはこだわりか。

そして注文したこのメニュー。普通はメイン料理に対して「ミニそば」とか「ミニ丼」とかってなるじゃないですか。これはどちらも一人前、ドーン!ドーン!と丼が二つです。

もうね、深夜に今改めて画像を見てますけど、これが飯テロってやつなんだな。また明日にでも行きたい。日替わりセットを全て制覇したい。

ただね、これだけは言っておきます。

味は普通です。でもその普通が良い。それが分かるようになるのに30年以上の歳月が必要でした。だからこそ客層の平均年齢が高いのかも。

再訪は近いでしょう。

みんなも関東地方、特に埼玉県、さいたま市に来た時は山田うどん食堂に行ってみようぜ!

おしまい。



地味に嬉しい無料の漬物。牛丼屋の紅ショウガ的な立ち位置か。

(参考リンク)
山田うどん食堂

【まつ直近記事3本】
(151)『さいたま市の図書館が全館休館しているから、さいたま市の図書館の凄さと書評を語ります』
(152)『3月11日の素晴らしきコンサート@埼玉会館』
(153)『渋谷区からさいたま市まで歩いて帰る(震災シュミュレーション)

40年の歴史を伝えます。大宮薪能ポスター展を開催中。

毎年5月に武蔵一宮氷川神社境内で開催している「大宮薪能」は、東北・上越新幹線の開業を記念して昭和57年に第1回が行われ、本年で記念の40回目を迎えます。今回は無観客で実施し、その模様を収録してオンラインで配信します。

配信に先がけ、JR大宮駅東西連絡通路内にて大宮薪能ポスター展を開催しています。

40回分のポスターを、今回は2回に分けて展示させていただいております。

5月31日(月)から6月3日(木)まで、第1回から第20回までのポスターを展示しました。続いて本日6月4日(金)〜6月7日(月)まで、第21回から第40回までのポスターを展示しています。

※最終日の7日は午後4時頃まで展示予定です。

思い出とともにいくつか過去のポスターをご紹介します。

こちらは記念すべき第1回のポスターです。氷川神社の神池と楼門を背景に、白を基調とした美しいデザインですよね。

 

第20回のポスターです。作り物の鐘が舞台に吊るされ大掛かりな仕掛けが特徴の「道成寺」がメインビジュアルに。この年に観世流と金春流それぞれの流派で演能されました。ポスターにも秘曲”道成寺”の文字が入っていますが、40年の歴史がある大宮薪能でも演能されたのはこの1度だけです。

 

第30回のポスターです。「鞍馬天狗」は子方の出演があるのですが、この時は一般募集をして、さいたま市民の7人のお子さんにご参加いただきました。能の基本動作であるすり足など、事前に演者の先生のご指導を受けて練習を重ね、本番ではたくさんのお客さまの前で演じられました。子どもたちにとって貴重な体験となったことでしょう。この年は東日本大震災の影響もあり、会場が市民会館おおみやでの開催となりました。

 

第32回のポスターです。「土蜘」は大宮薪能でも人気の演目です。クモの糸が放たれると会場のお客さまから思わず歓声があがりました。初心者の方でも楽しめる演目ですよ。大宮薪能ではこれまで4回演能されています。

上品で華やかなポスター、月や能舞台の入った風情あるポスター、演能の迫力が伝わってくるポスターなど、その年の大宮薪能の演目に合わせてデザイン・作成されてきました。大宮薪能の魅力とその歴史を感じとっていただけるかと思います。

さて、今回はJR大宮駅様のご協力をいただき、東北・上越新幹線開業当時の大宮駅の様子の写真も展示しています。既にご覧になった方からとても懐かしいというお声もいただきました。貴重なお写真をぜひご覧ください。

先日、無観客での大宮薪能を実施しその収録を終えました。今回は武蔵一宮氷川神社楼門内の舞殿にて演能され、これまでとはまた違った厳かな雰囲気で、幻想的な世界が作り出されました。

【オンライン配信のご案内】

■テレビ埼玉特別番組
放送日:令和3年6月12日(土) 19:00〜20:30

■YouTube配信
配信期間:令和3年6月13日(日)〜令和3年9月12日(日)
(公社)さいたま観光国際協会YouTubeチャンネル
テレ玉YouTubeチャンネル

■演目等
・素謡(金春流)「翁」 金春 憲和
・能(金春流)「羽衣」 本田 光洋

「羽衣」は、大宮薪能では演能回数が最多の演目で、美しい装束と優雅な舞が見どころです。今回、蝶々の模様の装束は幕末のもので、能面は四百年前のものらしいですよ!ぜひオンライン配信でご鑑能ください。

※「第40回記念大宮薪能」について詳しくはこちら

さいたま市の背中(152)『3月11日の素晴らしきコンサート@埼玉会館』

どーも、さいたま市民観光サポーターまつです。

新年度になり新しい生活に入る、入った、という方も多いのではないでしょうか。
過去のことを振り返る暇があまり無い現代ですが、例えば一ヶ月前はどんなことが世間のトピックだったかパッと思い出せる方はどれくらいいるでしょうか。
今であれば「第4波」とか「まんぼう」とか「聖火リレー」などが関心の高いトピックだと思いますが、先月のトピックといえば「震災10年」が挙げられるのではないでしょうか。
そんなわけで今回は少し時を遡り、3月11日のことを書きます。

2011年の東日本大震災。

改めて当時の様子を動画などで振り返ると、物凄いことが起きたのだなと身震いがします。
ぼく自身は震災当時は短期間ですが、仕事の都合で人生で唯一他県(茨城県)で生活をしていた時期でした。
地震の名前に「東北」は付いていますが、茨城のような東北と隣り合う北関東でも被害はありました。
水道などのインフラは止まり、会社(工場)は短期間でしたが操業停止もしました。
もちろん首都圏の住民も帰宅難民であったり、計画停電であったり、多くの影響を受けたと思います。
いずれにしても言葉にならないくらいの出来事でした。

2021年、つまり今年の3月11日、皆さんは何を考え、どのように過ごしていたでしょうか。

ぼくはコンサートにでかけていました。

「こんな日に娯楽なんてけしからん!」なんて思いますか?
いや違うんです。

ぼくもですね、最初はそんなことを思ったんですよ。
コロナ禍でも様々な文化・芸術イベントが中止になったり、アーティストの収入が減ったり、一方で日本は文化・芸術軽視、欧州などでは日本に比べて支援が手厚い、などのニュースなどもありました。

しかし沈んだ心、傷ついた心に音楽の力は偉大です。
そんなことを特別な日に改めて実感したコンサートだったのであります。

そのコンサートとはこちら。

正直ですね、チケットを取った時点では震災とかそういうことは一切考えていなかったんですよ。
過去にブログでも何度か言及をしていますが、ぼくはクラシックギターを学生時代からやっていて、気になるコンサートのためなら趣味の旅行と合わせて日本全国どこにでも行きます。
ギタリストの村治佳織さんは別に熱烈なファンではないけど、著名なギタリストですし、それがさいたま市に来られるっていうことであれば、行かない選択肢はないな、と思ったんです。
で、チケットを取ってから、「あ、公演日は特別な日なんだな」と思い出したのが実際のところです。
ポスターをよく見ると「特別な日、祈りを捧げる演奏会」というフレーズも書いてありました。

やってきました、埼玉会館。
完成は1966年、近代建築の巨匠、ル・コルビジェに学んだ建築家、前川國男氏の設計です。。
浦和駅周辺は大規模な開発が進められているけど、その中でも異彩を放つ歴史的建造物でもあります。
著名アーティストの全国ツアーの埼玉公演などに組み込まれることも多くあるホールです。


なんかいいですね、こういう手作り感&ローカル感のある立て看板。


さて時代はコロナ禍。
コロナ禍でのイベント開催については報道等で見聞きしていると思いますが、クラシックコンサートなどの声の出さないイベントは大分緩和されるようになりました。
そらそうだ、クラシックコンサートのように黙って同じ方向を向いていればリスクは職場や飲食店、交通機関内に比べて相当程度に抑えられると思われますから。
とはいえ不測の事態ってのはやはりあるでしょうから、この日も厳重な感染防止対策が取られていました。
具体的には間隔を空けた入場、体温チェック、消毒、マスク、そしてパンフレットは手渡しでの配布は無しで自分で取って行くスタイル。
また、クラシックコンサートによく行かれる方はご存じと思いますが、こういう場では結構な数の公演チラシが配られます。
しかしコロナ禍ではすっかりその厚みも減ったと感じました。
コンサートの自粛や外国人アーティストの入国制限が影響しているのだな、とこういう部分でもコロナ禍の影響力を感じました。

開演前にホール内を激写。
席は左右両側を1席ごとに空ける対策が取られていました。
ぼくは肩幅が広いので、こういうコンサートホールの座席は狭くて、いつも窮屈を感じていました。
コロナ禍でクラシックコンサートに何回か行きましたが、ここだけの話、ゆったりと音楽鑑賞することができて少し喜んでいます。
その反面、マスクの息苦しさがあるのでどっちもどっちですが。

この日のプログラムはこんな感じ。
ギタリストの村治佳織さんにだけ注目をしていましたが、後半のソリストは小山実稚恵さん。
これまた超著名なピアニストです。

なおこの日は平日の16時開演のコンサートでしたが、(1席ごと空けた状態で)満員でした。
そりゃこの布陣だったらそうだろうなぁと思いました。
ちなみにぼくは仕事を早上がりして都内から駆け付けました。

冒頭は本日の指揮者、尾高忠明さんのプレトーク。
初めて生で拝見しましたが、トークがとても上手で引き込まれました。
震災当時のこと、コロナのこと、大変な時だからこその音楽の力について、熱を持って話してくれました。
やっぱり芸術って大事ですよ、こういう時だからこそ。
ぼくも改めてそう思いましたよ。

さて、コンサートが始まりました。
コンサートレビューはここのメインではないので詳しくは割愛します(←要するにレビューの才能なし)。
アランフェス交響曲は「ギター協奏曲といえばこれ!」という王道中の王道ですが、ぼくはあまり好きじゃないんですよね笑。
あのスペイン曲らしい日本人と真逆の情熱さというか、不安定さというか、リズムが揺れる感じ。
演奏自体はとても素晴らしく、よくロックやポップスのライブでは「声からCD音源」という誉め言葉がありますが、今回はまさに「手からCD音源以上」というクオリティ。
そりゃオーケストラが天下のN響ならそうなりますわな。

協奏曲を全て弾き終わり、アンコールの時間。
村治さんがチョイスしたのは、やはりというべきか震災のチャリティソングである「花は咲く」のギターソロ。
正直ぼくは原曲はファンではないのですが、これの演奏は本当に素晴らしかった。
ギターにしか出せない表現の豊かさ、アレンジの良さ、弦の音色・・・。
壇上のN響の演奏者たちも、シミジミと聴き入っているのが良く分かりました。
偏見だけどソリストのアンコールの時ってオーケストラの演者って落ちてる(ボーっとしてる)気がするんですよね笑。
でも今回はバイオリンとかピアノとか、他のソロ楽器に比べてクラシックギターのレアさもあって、観客のみならず演者も耳を傾けて聴き入っているように見えました。
今日が特別な日だからこそ。
なお音源があるかなと思って探したら本人の演奏がYouTubeにありましたので、興味がある方は「村治佳織 花は咲く」で検索してみてくださいませ。

後半は小山実稚恵さんの登場。
もうね、ギターに比べるとピアノはズルいですね笑。
オーケストラに負けない、いや張り合う音量、表現力。
特に最後の「火の鳥」の迫力は凄まじかったですわ。
これは名曲だから知っている方は多いでしょうね。

「火の鳥」のあらすじ、ご存じですか?
一部、Wikipediaから引用します。

イワン王子は、火の鳥を追っているうちに夜になり、カスチェイの魔法の庭に迷いこむ。黄金のリンゴの木のところに火の鳥がいるのを王子は見つけて捕らえる。火の鳥が懇願するので解放するが、そのときに火の鳥の魔法の羽を手に入れる。次に王子は13人の乙女にあい、そのひとりと恋に落ちるが、彼女はカスチェイの魔法によって囚われの身となっていた王女(ツァレヴナ)だった。夜が明けるとともにカスチェイたちが戻ってきて、イワン王子はカスチェイの手下に捕らえられ、魔法で石に変えられようとする。絶体絶命の王子が魔法の羽を振ると、火の鳥が再び現れて、カスチェイの命が卵の中にあることを王子につげる。王子が卵を破壊したためにカスチェイは滅び、石にされた人々は元に戻り、王子と王女は結ばれる

まつ流にザックリ解説すると「色々困難があったけど、最後は大円満&ハッピーエンド」。
まさに今の世の中に相応しい選曲だなと思いました。
こちらも音源・動画は無数にあるので検索してみてくださいませ。


というわけで、コロナ禍&震災10年に、地元さいたま市の埼玉会館で開催されたコンサートに行ってきたよ、という記事でした。

「コロナ禍&震災10年」
そうサラっと書いてしまったけど、人によってはその濃淡はあるだろうけど、基本的には「もうホントに何なの?」って世の中だと思います。
ここでどんな言葉を書いても響かないと思うけど、芸術に一瞬でも救いを求めても良いのかも?と個人的には改めてそう思った印象深い日となりました。

おしまい。

(参考リンク)
NHK交響楽団 尾高忠明(指揮)小山実稚恵(ピアノ)村治佳織(ギター)
埼玉会館 – 公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団

【まつ直近記事3本】
(149)『スーパー銭湯飯は侮れない@湯屋敷考楽』
(150)『約20年振りに鶏白湯ラーメンを食べたら大人になったことを実感しました@麺匠むさし坊』
(151)『さいたま市の図書館が全館休館しているから、さいたま市の図書館の凄さと書評を語ります』