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青二さい青二さいたま

大宮にある盆栽村。国内外の盆栽ファンが訪れるこの地で、日々奮闘する34歳の若手盆栽師がいました。

盆栽も、技術も、枯れさせない。

大宮盆栽村。この場所は名品盆栽の聖地として知られ、日本だけでなく世界から多くの愛好家が訪れています。そんな盆栽村にある芙蓉園で10年以上盆栽師を続け、現在34歳の小棚明生さんにお話を伺いました。若手としてもっと活躍していきたいと思う反面、次世代の若手に盆栽師としての技術を受け継いでいきたいという、業界に対する熱い思いがそこにはありました。

――盆栽師を目指したきっかけは何でしょうか?
もともと植物が好きで育てていたこともありますが、盆栽自体に興味があったわけではなかったんです。きっかけは、大学生の頃に見たテレビ番組でした。テレビには、画面いっぱいに大木が映っているんですね。でも、カメラが引いていくと、実はそれは小さな器の中に入っている盆栽で。大自然が小さな器の中に入っているその姿に大きな衝撃を受け、「盆栽ってすごい!」と思った直後、芙蓉園に直接出向いていました。数年弟子として修行をすれば盆栽師になれると聞いたので、そのまま盆栽師になることを決めました。

――凄い行動力ですね! 親御さんには反対されなかったのでしょうか?
いえ、盆栽師になると決めたときにはされましたね。「せっかく大学まで入ったのに何で盆栽師な!?」って(笑)でも、本気だったのでなんとか説得しました。 いざ弟子になってみると、園によって異なるのですが、一人前の盆栽師になるまで6年もの修行期間があるんですよ。さらに体力も消耗する。休みは月2回ですし、展示会となれば朝4時5時起きは当たり前で...繊細な技術を習得する大変さもありましたが、まずは体力的に堪えましたね。とはいえ、盆栽師という職業が辛いと思った事は一度もないです。

――かなりハードなんですね。 それでも続ける、盆栽師としての魅力は何でしょうか?
自分が育てた盆栽をお客様に購入してもらえることです。 愛情を持って育てた盆栽を見て、お客様が感動して、購入する。そんな瞬間に、盆栽師をやっていて良かったなあと思いますね。一生懸命育てた分、盆栽が自分の手から離れて行く寂しさもありますが(笑)
――盆栽を育てる楽しさはどんなところですか?
一般の方ですと、ペット感覚で育てるというのが楽しいと思います。朝起きたらご飯を食べて、盆栽にも水をあげる。自分の生活の一部であり、一緒に育っていくものなんです。あと、盆栽は季節によって色を変えるので、四季を感じられるのも魅力のひとつですね。

――最近では盆栽がブームだと言われたりもしますが、 盆栽師として実感することはありますか?
ありますね。マンションに住むおばちゃんから話しかけられました(笑)頑張ってねって。今年の4月に世界盆栽大会があったのですが、それをきっかけにより多くの人に盆栽を知ってもらえたと思います。最近では、さいたま市の小学校に盆栽を育てることが取り入れられたりと、昔に比べて注目されていることを実感しています。

ただ、一方で盆栽師になる難しさも感じています。弟子という枠組みで入るのには覚悟がいる。金銭面でも苦労しますし。受け入れる側も整えていかなければならないなと感じますね。
――では最後に、若手盆栽師としての今後の目標を教えてください。
盆栽は、育てれば何百年と生きます。一方で、後継者が現れないために、技術が枯れてしまうこともあります。それではもったいない。先人たちが残した技術をしっかりと受け継ぎ、盆栽を次の世代へとつないでいくことが大切だと思っています。最近では、さいたま市大宮盆栽美術館を通じて、子どもたちに盆栽の魅力を教えていますが、こうした活動はこれからも続けていきたいですね。何百年と生きる盆栽を、 次の世代へと残していくために。

お越しくださいたま
芙蓉園
芙蓉園
当館大宮公園駅の線路沿いにある歴史ある芙蓉園。雑木盆栽を中心に、花が咲く盆栽(花物盆栽)、 実がつく盆栽(実もの盆栽)が数多く並べられている。 一年中花が絶えることのなく、季節ごとに表情を変えるその姿は見ごたえあり。寄せ植え盆栽はとても魅力的で、雑木の寄せ植えとしては初めて国風盆栽展にて最高賞の国風賞を受賞している。

住所:さいたま市北区盆栽町96
TEL:048-666-2400
営業時間:8:00~17:00 (春~秋は18:00まで)
定休日:木曜日
入園料:無料
小棚明生
1983年生まれ。日本工業大学中退。
2003年大学を中退し盆栽の世界に飛びこむ。
6年の修行を終え、現在は職人として精進中。
座右の銘は「実るほど頭の垂れる稲穂かな」。